3 高齢者の慢性心不全診療
慢性心不全は老年期に急増する.米国Framingham研究によると50歳代での慢性心不全の発症率はせいぜい1%であるに比して,80歳以上になると急増し,10%にも達する391).我が国は,1980年以降,先進国の先陣を切って高齢化社会を迎えた.2008年10月現在,65歳以上の高齢者人口は総人口の22.1%となり,うち75歳以上の後期高齢者が10.4%を占めている.2055年には高齢化率は40.5%に達し,国民の2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来する392).今や高齢者の慢性心不全は我が国における主要な社会問題となった393).特に,80歳以上の超高齢者では,医学的な観点に加え,家族や社会への医療負担394)を視野においた極めて人間科学的な対応が求められる395).
慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Treatment of Chronic Heart Failure(JCS 2010)