0点1点2点
呼吸数(回/分) <50回/分50~60回/分>60回
心拍数(拍/分) <130拍/分130~160拍/分>160拍/分
陥没呼吸- + ++
末梢冷感- - +
ギャッロップリズム- - +
肝腫大<2 cm 2~3 cm >3 cm,硬い

 急性と慢性を鑑別できないこともある.新生児期においては,形態異常を基礎とする場合,出生に伴う変化が急速に起きれば,急性心不全の様相を呈し,出生に伴
う変化に適応し,代償できればその後に慢性心不全の様相を呈する.

① 急性心不全
 急性心不全の症状には,呼吸困難,蒼白,四肢末梢の冷感,多汗等が乳幼児に特有である.新生児では,動脈管依存性心疾患の動脈管閉鎖による体血流減少のための循環虚脱,左右短絡性疾患や肺静脈閉存性疾患や肺血管抵抗低下による血流増加や肺静脈うっ血が主なものである.治療は,カテコラミン等の強心薬,利尿薬投与,人工換気が主となる.動脈管開存に体血流を依存する疾患群ではプロスタグランジンE1(PGE1)を用い,酸素投与を控え,肺血流増加を抑制する.

② 慢性心不全

 症状は乳児では,過呼吸(1分間50回以上),体重増加不良,発汗過多(特に頭部)等がある.乳児・小児では静脈や肝臓等の弾性が高いため静脈圧があまり上昇しないので浮腫をみることは少ない.年長児の重症右心心不全では重要な兆候である.

 治療は,手術適応のある例は肺血流と体血流のバランスを保ち,うっ血性心不全を改善させる.手術非適応例では,成人心不全と同様,生命予後の改善と生活の質の向上に目標を置き,心負荷軽減,心筋保護が主となり,一般的管理も重要である429).最重症の乳児では,水分(ミルク)を制限することがあるが,そのような例は早期の手術を考慮する.哺乳困難がある場合には,一回哺乳量を少なくし,哺乳回数を増やす.乳児に低ナトリウムミルクを使用した歴史もあるが低ナトリウム血症が問題となる.感染による悪化を避けるため,一般的な感染防止と積極的な予防接種を推奨する.貧血防止は重要で,タンパク質,糖質,脂質,鉄分等のバランスに配慮する.成人の場合は心不全の重症度の指標としてNYHAの分類が使用されるがこれをそのまま乳児の心不全評価に用いることは困難である.最近,いくつか乳児の心不全評価法が報告されているのでその中の我が国から報告されているものをここに挙げておく(表11430)
2 心不全の症状と治療実施の基本事項
 
表11 乳児心不全スコア
最高点は12点とする 文献431より和訳し抜粋
Ⅱ 慢性心不全の治療 > 5 胎児,乳幼児,小児の慢性心不全の治療 > 2 心不全の症状と治療実施の基本事項
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慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
Guidelines for Treatment of Chronic Heart Failure(JCS 2010)